検査治具と言っても一般の人にはまず馴染みがない用語のはずです。治具という言葉を今まで聞いたことも使ったこともない人がほとんどではないでしょうか。何か器具とか用具のようなものかという気がしますが、確かにこのイメージは大きくは間違っていません。検査治具とは、主に工業製品や部品の製造工場で、製品の検査に用いられる特別な用具と考えて構わないからです。
実態としては非常に広範囲にわたっているのですが、普通の人でもイメージしやすいように分かりやすい事例に絞りますと、例えばある工場ではボルトとかナットのような部品を製造していると仮定します。当然ながら製品の大きさには決まった仕様があり、そこから外れると不良品です。さて、では仕様どおりの大きさかどうかをどうやって素早く、かつ確実に確認すれば良いかという問題から生み出されたのが検査治具となります。大きさを測るのですから教科書的には物差しを使うことになり、ある程度以上に細かく厳密に測ろうと思えば、一般の定規ではなくノギスとかマイクロメーターを思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし出来上がったボルトの一つ一つにノギスを当てて長さを測るのではあまりに時間がかかりすぎますし、目視では当然誤差も生じます。そういうやり方ではなく、予めそのボルトが丁度ぴったりと嵌るよう型枠的な部品を作っておけば、いちいちノギスを当てることなく仕様通りかどうかを素早くチェックできるでしょう。これが検査治具です。