赤外線による非破壊検査は金属などの疲労き裂や、コンクリートの空隙検査などに用いられます。電磁波を照射した部分に空気があれば、その部分だけ温度が変化しているので、接触せずに見つけることができます。橋脚の空隙や疲労き裂があると、重大な事故を起こすリスクが高まるので、赤外線を使った非破壊検査を実施して、早めに対応することが求められています。トンネルについても同様で、高速道路で崩落をするたびに事前の検査に不備があったと言われますが、従来のようにハンマーで叩きながらコンクリートの劣化を調べるやり方では、経験の少ない作業員では、小さな空隙に気がつくことはできません。
コンクリート内部の空隙は温度変化や地震などによる衝撃によって作られます。日本は地震大国でもあり、様々な規模の地震が毎日のように起きています。ヨーロッパのように地盤がしっかりしている地域ならば、空隙の心配も少ないのですが、日本の場合は事情が違います。赤外線サーモグラフィーは建物の非破壊検査に用いられることが多く、電磁波の伝わり方をモニタリングするだけで、正確な情報を手にすることができるので、全国各地の建築物やトンネル、橋脚などの検査で使われています。
非破壊検査には、目視による検査も含まれていますが、それだけでは内部の状態を把握できないので、定期的に目視と赤外線サーモグラフィーで調査を行います。コンクリートは常に劣化しつづけているので、データを活用して、正確な判断をしなければなりません。